まき子の「オーストラリアあれこれ」
ひとくちエッセイ
気候と環境 編
広々ゆったり、オーストラリア大陸
日本の約21倍の国土に住むのは約1900万人。1平方キロメートル当たりの人口密度は日本の329人に対してわずかに2人。ちなみにアメリカは26人、イギリスは235人、カナダでは3人である。
オーストラリアの面積は約770万平方キロで、これはヨーロッパ全土を飲み込んでも余りある広さで、ほぼアメリカ合衆国に匹敵する大きさなのだ。これだけ大きいのに、日本からの観光ツアーはグレート・バリア・リーフ、タスマニア、シドニー、エアーズ・ロック(ウルル)をたった5日で回ろうなどという無茶な日程でやってくる。
この広い大陸を飛行機で横断するには5時間、列車だと3日はかかる。しかも東海岸と西海岸では時差が3時間あるのだから、どれだけだだっ広いかおわかりいただけると思う。
気温差20度
オーストラリアでは、夏の暑さをしのぐのに、カーテンを閉めっぱなしにするという面白い方法がある。日中の最高気温が35度あっても、夕方から気温がどんどん下がり、夜は15度から20度ほどに下がる日が多い。日本のように寝苦しい熱帯夜は、キャンベラの場合はまずない。夜の冷気をそのまま保つため、朝になってもカーテンを開けないというわけだ。窓だけではなく、カーテンも閉めて外からの明かりも遮断する。でも、こんなことができるのも、やはり湿度が低いためだろう。日本の「高温多湿」の気候では、とうていできないことである。
皮膚ガン世界一
オーストラリアでは毎年およそ千人が皮膚ガンで死亡している。これは米国の倍以上といわれる。また、毎年15万人が皮膚ガンの治療を受けているが、皮膚ガンに気がついていない人が14万人いるのだとか・・・恐ろしい数字である。
オーストラリアは南極オゾンホールに近いため、オゾン層の破壊による紫外線の増加が懸念されるようになってから、紫外線の影響、UVケアといったものに関心が集まっている。キャンベラの地元紙「キャンベラ・タイムズ」には1996年から1面の天気予報欄にUV指数が表示されるようになり、注意が促されている。
日焼け止めクリームは必需品
紫外線を防ぐ手軽な方法は、日焼け止めクリームをぬること。外でスポーツをする時にはもちろん、散歩や買い物に行く時ですら、大人から子どもまできちんとぬっている。それも、顔、耳、首筋、ひざの裏まで丹念に、そしてこまめにつけ直す。
この日焼け止めクリーム、携帯のチューブのものから1キロ、2キロ入りの特大容器入りのものまでさまざま売られている。「こんな大きいの、誰が使うの?」と最初は不思議に思ったのだが、家族でひと夏使ったら、たちまちなくなってしまう。
ある調査によると、20才になるまでに、一生に浴びる紫外線の4分の3を浴びてしまうのだとか。だとすると、大人になってUVケアに注意しても、高い化粧品にどんなにお金を注ぎ込んでも効果はないとも言える。それに紫外線でのガン発生には何十年もかかるというから、皮膚ガンになるかどうかは、子どもの時からのケアにかかっていると言える。
赤ちゃんもサングラスで
身体に日焼け止めクリームをつけて防ぐのと同じように、強い日ざしから目を守るのも必要だ。オーストラリアでは老若男女、日ざしが強い日には、外出する時にサングラスをかける。乳母車に乗っている赤ちゃんまでかけていることも多い。
日本人の黒い瞳に比べてヨーロッパ系の人の青、緑、グレーといった薄い色の瞳には光線がまぶしいのだそうだ。
私は日本では特にサングラスをかけることはなかったが、こちらで運転するようになってからはなくてはならないもの、なければ運転できないもの、と言っても言い過ぎではない。それぐらい、日ざしが強くまぶしく、サングラスなしでは頭がクラクラしてくる。
また、サングラスを選ぶ時は必ずUVカット表示のあるものがよい。サングラスをかけると、瞳孔が開くので、UV防止効果がないと、かえって瞳を傷めるという。あまり安いものや、子ども向けのおもちゃのようなものは避けたほうがよい。
背の低さを痛感
私の身長は153センチ。学校ではいつも前から3〜4番目だったが、普段の生活で困ることは全くなかった。ところが、オーストラリアで暮らしていると、不便に思うことが多いのだ。いくつか例をあげてみよう。
銀行のカウンター・私の肩ぐらいの位置にあたる。バッグをカウンターに乗せて、財布を取り出そうとしたら、爪先立ちになってしまう。
スーパーマーケット・陳列台が高すぎて届かない。また、冷凍庫の奥のものに届かないので、通りがかりの人に頼んで取ってもらわなければならない。
トイレのかばん掛け・とんでもなく高い位置にかばん掛けがつけられている。ドアの一番上、手をのばしても届かない。きっと、2メートル近い大男が何も考えずに釘を打ったのだろうなあと、あきれて笑ってしまった。
ちなみに主人は175センチ。不便なことは全然ないと言う。私とは視界が全然違うんでしょうね。
若く見られる日本人
夏にオーストラリア人の女性が薄着になり、胸が大きく開いたシャツやノースリーブになると、首筋から胸、背中、腕などがしみとそばかすだらけでギョッとしてしまうことが多い。メラニン色素の少ない白人はシミができやすく、また、紫外線はしみ、そばかすのほか、肌の弾力や張りを失わせる原因にもなるという。
日本人ならば顔を見てだいたい何才ぐらいか当てられるが、オーストラリア人の女性の年令はなかなかわからない。20才代でも肌がカサカサして、しわがかなり目立ち、かなり老けて見えるようになるからだ。
周囲の日本人に聞いてもみんな若く見られているようだ。オーストラリア人に比べたら、体格がきゃしゃで肌がきめ細かく、しみ、ソバカスもあまりない上、しわも目立たないとくる。軽く10才以上は若く見られている。クラスメートに聞かれて、子どもが私の年令を教えると、みんな目を真ん丸にして驚くと言う。うれしいけど、いつまでかしら?
多民族国家
約200もの国や地域から、およそ500万の人々が移り住んだ国際色豊かな多文化社会。国民の40%は移民または移民の子孫。
二人の子どもが通う小学校にも、インド、パキスタン、ベトナム、フイジー、ポーランド、バングラデシュ、ロシア、イタリア、タイ、中国から・・・とあげたら切りがない。その親や祖父母まで調べたら、世界中のほとんどの国があげられるのかもしれない。
バリアフリー・・・乳母車でどこまでも
子ども二人はキャンベラ生まれだ。こちらではおんぶひもを使う習慣はなく、乳母車に乗せて連れて歩くのだが、不便を感じたことは一度もなかった。どこにでも乳母車のままで無理なく行けるのだ。
娘が1才半の時に一時日本に帰ることになり乳母車を持参したが、買い物に行くと階段が多く、とにかく何回も乳母車をたたんでだっこしないと進めない。娘をだっこし、重い乳母車を片手でたたみ、それを持って、階段を登っては下り、下っては登り・・・ヘトヘトになったことは今でも忘れられない。
最近はバリアフリーを目指した街づくりがされているが、オーストラリアに比べたらまだまだ。こちらでは車椅子の人たちを街中でかなり多く見かける。一人で操作しながらどこにでも行けるからだ。建物に入る時に正面に階段があっても、必ず横の方からなだらかなスロープを通って中に入っていけるようになっている。また、スーパーマーケットから、公共の建物にいたるまで通路も広く、ゆったりと作られている。
トイレも乳母車のまま、車椅子のまま使えるものが、街中に数多く設置されている。
ブッシュファイアー
オーストラリアの樹木は決まった時期に発生するブッシュファイアー(森林火災)のおかげで、足下に生えている茂みが焼き払われる。そして、また太陽の日ざしを浴びることで、種子のさやが破れて種をまき散らすことができるのだそうだ。言い方を代えると、ブッシュファイアーはオーストラリアの生物のライフサイクルにとって、なくてはならないものなのだ。
1994年1月の火災では、シドニーの南にあるロイヤル・ナショナル・パークの90%が焼けたが、その後わずか2年で、元のようにうっそうとした緑になったと言われる。
