まき子の「オーストラリアあれこれ」
ひとくちエッセイ
その他の出来事
おいしい牛乳
キャンベラ生まれの息子は牛乳が大好き。でも日本に行くと「おいしくない、何となくこげくさい」などと言ってほとんど飲まない。不思議に思っていたのだが、日本の牛乳の約90%は加熱処理された超高温滅菌乳なのだと知り、なるほどと思った。私はその違いに気がつかなかったが、息子は3歳の時に「こげくさい」と表現したのだ。
欧米、オーストラリアではパスチャリゼーション、65度で30分の加熱処理が主流で、これだと、乳質を損なわず、乳酸菌の働きを奪うこともないのだそうだ。
日本の消費者は正しい情報を与えられないまま、メーカーが自分達の都合で作り出した、栄養価も風味も劣る牛乳を飲まされているらしい。
夫の「立ち会い出産」が当たり前
初めての出産は不安がつきもの。妊娠がわかると、夫婦で「妊娠・出産」の勉強会に出かけ、テキストやビデオを基にさまざまな講習を受ける。また、出産が近くなると、実際に呼吸の方法、夫の協力の仕方(産婦の身体のどこを押すと楽になるとか、さすり方など)を実技で練習したりする。昼間なのに、まあ、よく揃ったなと感心するほど、ちゃんとご主人たちが仕事から抜け出して(?)そろう。
夫が出産に立ち会うのは当然のことだし、最近では、いい性教育になると、小学生ぐらいの兄弟を立ち会わせることも少なくないとか。
さて、日本の出産に関する本を見ると、立ち会いの紹介のページに、病院の帽子、白衣、手袋、マスクなどを身につけたお父さんの写真があったので、主人もそんなものだと思っていたらしい。でも、いつになっても「着替えて下さい」と言われないし、「手を消毒して下さい」とも言われない。ずっと、気にはなっていたらしいが、結局、医者に促されるままに、主人は手渡されたハサミを汗ばんだ手で受け取り、子どものへその緒をチョキン・・・。
へその緒を切られた子どもはすぐに母親の胸に抱かせてくれる。この最初の親子のひとときが大事な時間なのだと、後で本で読んだことがある。
さて、無事に出産を終え、落ち着いたころ、看護婦さんに言われた。
「どうぞ、シャワーを浴びてください」。
「ええ〜〜!シャワーを浴びてもいいの?そんなこと、日本の出産の本には書かれていなかった・・・」
経口避妊薬(ピル)服用と子宮ガン検診
日本では産婦人科の診断を受けてから処方してもらえる避妊ピル、オーストラリアでは医師であれば誰でも処方できるので、簡単に手に入れることができる。正しく使用すれば、ほぼ99%の避妊効果があるといわれているが、使用上の注意、副作用については認識しておく必要がある。
今回、日本に滞在中に、子宮を全摘出した向井亜紀の記者会見を見た。「25才以上の女性は産婦人科検診を恥ずかしがらずに受けてほしい。私のような思いは絶対にしないで」と、涙ながらに訴えている姿を見て、日本ではなかなか女性が検診を受けていないのだなと改めて知った次第。市の広報などによく検診のお知らせが出ているが、案内を見て受ける人は少ないのだろうか。
先頃、地元の新聞に「子宮ガン検診」を受けた人の割合がキャンベラではオーストラリアで第2位だったという報告がされていた。これは50才から59才を対象に限ったものだが、72%という数字を見て驚いた。4人に3人は検診を受けているということになる。1995年に国全体で子宮ガン検診を普及させる試みが始まり、登録制度等を設けた結果だと言うが、かなり良い数字だと思う。
私は二人の子どもを出産後、避妊ピルを服用しているが、特に今までに副作用などの問題が起きたことはない。また、子宮ガン検診も毎年、出産の時からのかかりつけの婦人科の医者に診てもらっている。自分の身体は自分で守りたいものだ。
スーツ姿のお医者さんが内診も
初めての妊娠から出産を診てもらった婦人科の医者に、二人目の時もお世話になり、今も毎年の婦人科検診では診てもらっているので、かれこれ12年のつきあいになる。
婦人科に限らず、こちらの医者は診断の際に白衣を着ていないのが普通だが、英国生まれの彼はいつでも仕立てのよさそうなスーツに身を包み、ネクタイもオシャレでなかなかダンディーだ。また、受付と待ち合い室は、会社のオフィスのような落ち着いた雰囲気で、日本の病院特有の、あの薬臭さが一切ない。
診療室では大きなワインカラーの机を挟んで座り、まるで社長室で面接をしているような感じ。奥の方の部屋は婦人科の内診ができるようなベッドが置かれているが、壁とカーテンの色がピンク、ベッドは少し濃いめのピンクと、リラックスできるような明るい雰囲気づくりがされている。
受付には二人の女性がいるが、予約の電話の応対、支払いの事務の仕事をする人で、診療室、さらに奥の部屋に看護婦がいるわけではない。毎年のことなので、内診の受け方は知っているが、一応、彼が説明していく。
「え〜と、ここで服を脱いで下さいね。ブラジャーも、パンティもね。このベッドのこのあたりにおしりを、この辺に足が来るように乗せてくださいね。それから、このタオルをかけて待っていてください。それじゃあ」とウインクをしながら出ていく。
内診の前から、そしてすべて終わって、「また来年ね」と握手して帰るまで、こちらの緊張を解きほぐそうと、彼なりに明るく、そして恥ずかしくならないようにいろいろと心遣いをしてくれているのが伝わる。
日本の検診のように、顔を見ずにカーテン越しに検査されてしまうほうが、恥ずかしくなかったりして・・・と思ったこともある。でも、私はこのダンディーなスーツ姿のお医者さんに会えるのを実は楽しみにしている。
ポッサム(フクロギツネ)が庭の木に
ポッサムは住宅街にもかなり生息している。2年ほど前、玄関横のジャスミンにポッサムの親子が来るようになり、夜半、屋根の上を歩く音がしたり、吠えるような声が聞こえたり・・・。夜行性なので、朝から夕方までは葉っぱの茂みに体を丸めて眠り、夕方遅く、暗くなりかけた時にまた行動を起こす。子ども達はリンゴをえさに置いたりして毎日眺めるのを楽しみにしていた。
うちの庭にいますよ、Red-back Spider(セアカコケグモ)
3年ほど前、オーストラリア産の「セアカコケグモ」が日本に出没して大騒ぎになった。我が家の庭、外にある物置き小屋の中にもいる、こちらではごく身近なクモである。小さな子どもやお年寄りがさされたりすると、危険な状態になるほどの毒を持っていることは誰もが知っていて、小さな時から触ってはいけないことを教えられるが、大げさに駆除をしたりするわけではない。一つの例に上げてみたが、オーストラリアでは動物、植物など自然との優しい関係を保とうとする姿勢で、常に自然との共生が考えられている。
