まき子の「オーストラリアあれこれ」

ひとくちエッセイ

学校、教育編

 

先生と子どもの関係

「子どもとは友達のような関係になって、子どもと同じ目の高さで見ていくような先生にならなくては」・・・日本でよく言われている気がする。しかし、社会に出て口の聞き方を知らない、目上と目下の区別がつかない、自己中心的だなどの若者像はこのあたりから生まれてくるのではないだろうか。

それに比べると、オーストラリアの小学校の先生は毅然とした態度で子どもに接し、大人の「違う目の高さ」から子どもを教育している。オーストラリアではよく、ファーストネーム(名字ではなく、名前や、ニックネーム)でお互いを呼ぶ習慣があるが、小学校では先生たちのことをきちんと「Mrs〜」、「Mr〜」と呼ばせ、言葉遣いは厳しくしつけている。

おしゃれは自由・・・腕時計やアクセサリー、ピアスなどで

オーストラリアは多民族国家で、いろいろな国からの人が集まっている。肌の色や髪の毛の色などはさまざま。国や宗教によっては、幼い時にピアスや指輪をしたりもする。服装や装飾に関しては細かい規則を作ることすらしないし、できないのだ。

生徒を並ばせ、ものさしでスカート丈を測るような日本の中学校、高校の服装検査は全くのナンセンス。

10時半はおやつタイム、ランチはサンドイッチで

おやつは好きなお菓子を家から持ってくることができる。クッキーやスナック菓子、果物が主だが、ジュースを飲んでもよい。また、学校にはキャンティーンという売店があり、そこでおやつやアイスクリームを買って食べることもできる。

昼食は家からサンドイッチを持ってくる子が多いが、朝、キャンティーンで予約をして、ミートパイやピザなどを食べたりもできる。

学校へお金を持っていく、お金を持っている子だけがアイスクリームやチョコレートを買って食べる、好みのおやつを好きなだけ持ってきてもいい・・・これで特に問題が起きないのだから、不思議と言えるかもしれない。

授業にチェス取り入れ

オーストラリアではチェスが盛んだ。学校にチェスクラブがあったり、地域のクラブ会員だったりする子どもが多い。大会も10才以下、12才以下というように細かく年令別に分けたもの、女の子だけのもの、持ち時間が10分の速攻で試合をする大会や、長いものでは持ち時間2時間だったりと、さまざまな種類のチェス大会が開かれる。

学校でもチェスをカリキュラムの一つに入れる学校が多く、チェス専門の講師を招いて週に1時間ほど教えている。何手も先を考える判断能力、また、かけひきを学んだり、集中力を養う意味からも、カリキュラムに入れる学校がふえている。

新入生の世話はBuddyの6年生

6年生は新学期早々、新入生の世話で忙しい。6年生一人か二人で新入生一人を受け持ち、休み時間に一緒に遊んだり、トイレに連れて行ったり、図書館で本を読んであげたりと、面倒を見る役目があるのだ。

6才の新入生にとって、小学校の建物や敷地はかなり広く、6年生のお姉さん、お兄さんが一緒だと、とても心強い。一方、下に弟や妹のいない6年生の子ははじめ、どう扱っていいかとまどうことも多いが、慣れてくると楽しくなるし、可愛くもなってくる。

また、「ピア・サポート」といって、学年の壁をこえ、縦割りでグループを作って活動する時間も設けられている(1年生から6年生までを混ぜて10人ほどのグループを作り、上級生がリーダーとしての訓練を受けるもの)。

このBuddyのシステム、縦割りグループでの活動、なかなかいいアイデアだ。

宿題はプロジェクトが中心、面白いトピックにやる気満々

宿題は土・日をはさんで1週間かけてまとめ、提出することが多い。日本のようなドリルを使って計算や漢字練習をするといったものなら子ども一人でできるが、ほとんどそういうものはない。図書館に行って調べたり、親の手助けが必要なことが多い。先生は子どもが親と一緒に取り組むことを見込んだテーマを選んでいるようだ。

<2年生の宿題の例>

*図形・家にあるチラシや雑誌から図形(立方体、円柱、円錐、球など)を切り抜き、きれいに分類する。

*作文・将来なりたい職業について作文を書き、親の感想を書いてもらう。

*算数・家の中で約1キログラムのものを見つけ、実際に測り、リストを作る。

*絵・自分の寝室の見取り図(真上から見た絵)を描く。

<4年生の宿題の例>

*オーストラリアのお金・お札、硬貨に何の絵が描かれているか、どんな文字が書き込まれているか調べる。自分のアイデアで500ドル紙幣を作ってみる。

*おとぎ話の裏表・童話"Goldilocks and the Three Bears"は3匹のクマの視点から見た物語だが、それを女の子の側から見て考えた話だとどう変わるだろうか。また、好きな童話を一つ選んで、その本の主人公とは違う登場人物の視点から話を作り直してみよう。

*テレビのコマーシャル・朝8時頃、夕方6時頃、就寝前のテレビコマーシャルについて1週間分の表を作る(内容、対象は誰か、感想など)。また、何か新しい商品を自分で考え、そのコマーシャルを作る(新商品の絵、コマーシャルのせりふなどをまとめてレポートにする)。

コンピューターは1年生から

1週間に2〜3時間はコンピューターの授業がある。コンピューター室では二人に1台、高学年では教室でノート型パソコンが一人で1台使える。基本の指使いからゆっくりていねいに教えられ、低学年は絵を描いたり、遊びながら学べるように考えられている。高学年になると、宿題はタイプで提出してもよいことになっている。

図書館好きな子どもたち

本は比較的高いので、自分で買うよりも図書館で借りて読むもの・・・といった印象。イギリスのベストセラー「ハリー・ポッター」が流行った時には、貸し出しの予約が30人以上もいたとか・・・。

図書館司書が受け持つ授業が各クラスに週に1時間あり、2〜3年生で図書館の本の検索の仕方を学ぶ。授業でも、休み時間でも、図書館に出入りする子どもはかなり多く、チェスの道具も揃っているため、上級生に挑戦したりする光景が見られる。本を読んだりしながらくつろげる「憩いの場」として定着、いつも大勢の子どもが集まっている。

通学かばんの中身はお弁当だけ

教科書はなく、ノートや筆記具は学校のトレイ(教室内にしつらえられた個々の引き出し)に置きっぱなしなので、かばんに入れるのは、おやつと昼食、宿題のノートくらい。

トイレに行きたい時には手をあげて

時間割りは大まかなもので、チャイムはない。トイレに行きたくなったり、水が飲みたくなったりしたら、手を上げて先生に伝え、ひとりで教室を出ていく。

昼休みは全員が外に出るのが決まり

83、40、19、28、18、5・・・日本の小学生が休み時間に校庭で遊んでいる割合を学年ごとにパーセントで表わしたものだという(朝日新聞より)。学年があがるにつれて減っていき、6年生ではたった5%しか外で遊んでいない。テレビゲームやマンガのような室内遊びで子ども達の遊び欲が満足させられるとはとても思えない。

緑に輝いた芝生の上で思いっきり身体を動かしたり、走り回って大きな声で叫んだりして遊んでいるオーストラリアの子ども達を見ると、心が和む。

男の子に人気があるのはクリケット、バスケットボール、サッカーで、女の子はネットボールをする子が多い。

子どもの健康を守るライフ・エデュケーション

たばこやお酒、麻薬が子どもの身体に悪い影響を与えることを教えるのがライフ・エデュケーションで、エイズの知識もごく早い時期に教えられる。

楽しむことが第一・・・楽器の練習、スポーツ

一言で言うと「実践を通して学ぶ」ということだろうか。

日本の中学でブラスバンドに入り、初めて手にしたクラリネット、最初はマウスピースだけの練習が続き、いやになったものだ。また、テニスの初心者向けの講習会に行ったときのこと、素振りだけで初日が終わり、つまらないなあなんて思ったことがあるのは私だけではないと思う。

こちらではクラリネットの本体を使って、出しやすい音からまずは出してみる。できないながらも、みんなで一緒に演奏して、合奏の楽しみを知る。テニスでは、コートに立って実際にネット越しにボールを打ってみる・・・何ごとも実践練習からいきなり始め、「楽しむ」のがオーストラリア流だ。

用務員のおじさんの仕事をとってはいけない

日本の学校のように放課後の掃除はやらない。毎日4時過ぎになると、掃除を仕事とするプロの人たちが来るのだ。

授業中に具合が悪くなり、吐いた子どもがいた。娘の報告によると、何人かで保健室に連れていったとのこと。「先生が後始末をしたの?」と聞くと、「早く用務員のおじさんを呼んできて」と言ったという。「日本では先生がまず掃除をしてくれるんでしょうけどね」と言うと、娘は、「そうじゃないよ。それは、用務員のおじさんの仕事なんだから」と当然のように言う。教室の掃除も「それは掃除をするおばさん達の仕事だから、私達がしてしまったら、仕事がなくなって困るでしょう」なんてことを言う。

日本の小学校の給食の用意、掃除を自分達でする姿をオーストラリアの子ども達に見せてあげたい。どんなふうに思うだろうか。

 

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