まき子の「オーストラリア育児・教育あれこれ」

親子の遊び場プレイ・グループ

オーストラリアで父母らが自主的に運営している育児サークルをプレイ・グループ(Play Group)と呼ぶ。子どもを遊ばせながら、育児奮闘中の親たちが交流の輪を広げる---そんな「親子のための遊び場」を紹介してみたい。

# 対象は赤ちゃんからプレスクール(4歳児)までの子どもで、一つのグループの子どもの人数は15人程度。午前9時半から12時まで、あるいは午後1時から3時までというように、2時間半ほどの集まりとなっている。

月曜日から金曜日までさまざまなセッションがあるので、都合のいい時間のプレイ・グループに入会し、週に1回か2回参加する。場所は、ACT(オーストラリア首都特別地域)ではプレスクールの建物を借りている場合が多いようだが、教会のホールやコミュニティセンターを使うグループもある。

教室の中、またはブランコや砂場などの遊具がある外の庭で遊ばせたり、持ち寄った果物をおやつとして食べさせながら、親はお茶を飲んでくつろいだり、当番制で子どもにさせる工作の準備をしたりすることもある。

私も2人の子どもが生後6ヶ月と2歳半の時に参加し始め、1年半ほど通っただろうか。子どもの遊び、おやつの与え方、子どもとの接し方から躾まで、日本とずいぶん違うので、興味深く見ていたことを覚えている。

例えば、手や衣類に絵の具がついても全然気にしなかったり、外では芝生の上でも砂場でも、裸足で転げ回って遊ぶ子どもが多いことだ。汚れることを気にせず、たくましく、大らかに遊ぶ・・・子どもらしい子どもという印象があった。

お母さんたちは子どもを自由に遊ばせ、あまり手出しはしない。それに、遊んで汚くなったことで叱ることはない。子どもたちは生き生きとした表情で、意欲的に「遊び」に取り組む様子がうかがえた。

日本では最近、早期教育が盛んだが、2〜3歳の子どもに高価なブランドの服を着せ、学習塾に通わせているお母さんたちにしたら、「遊んでばかりいて!」とか「まあ、そんなに汚くして!」という不満の声が上がるのではないだろうか。

でも、本来、子どもにとって「遊び」こそが大事なものであり、「遊びは子どもにとって生活そのものであり学習である」と言われるように、自発的に遊ぶ中でいろいろな知恵をつけていくものなのだ。オーストラリアで生活していると、豊かな自然の中でのびのび遊べるオーストラリアの子どもたちは幸せだなと、素直に感じられる。

また、プレイ・グループでお母さんたちを見ていると、子どもが何か悪いことをした時は、人前であっても、すぐその場できつく叱る。たぶん、家庭で叱る時と同じ顔で。内面と外面を使い分ける日本人の場合、皆の前で、あんな鬼のような形相ではなかなか叱れないだろうなと思ったことがある。でも、ほめたり励ましたりすることも非常に上手なのだ。感情を豊かに表現することができるので、幼い子どもにはわかりやすくていいのかもしれない。

1週間に2〜3時間という短い時間だが、プレイ・グループで同じ年齢の子どもを比較したり、他の親子の様子を見るのはなかなかいい勉強になる。親にとっても、日ごろの子育ての悩みなどを相談したり、情報交換ができたりする。特に新米お母さんたちにとっては、先輩お母さんの話を聞いたり、アドバイスを受けたりできる絶好の機会ともなっている。

日本の若いお母さんは子育てについて相談する場がないため、孤立しがちで母親業に自信が持てない人が多いと聞く。早期教育に走るお母さんたちも結局、不安や寂しさがあるのではないだろうか。育児で家に閉じこもりがちだとストレスがたまったり、また、育児書を鵜のみにして、生後何か月ではどういうことができ、何歳では何をさせるべきかという、平均値を常に気にしたりする。

プレイ・グループでいろいろな子どもを見ていると、子どもにはそれぞれ個性があり、身体の発達、言葉の発達の仕方は違うこと、また、やんちゃも泣き虫も恥ずかしがり屋も個性なのだと認められ、寛容になっていけるような気がする。

日本の各地で母親たちが中心になって育児情報誌が活発に作られている。子育ての情報はあふれているが、こういった「親子の遊び場」プレイ・グループのようなサークルの輪が日本でもどんどん普及するようになったらと思う。子どものためであると同時に、育児に悩んだり迷ったりするお母さんやお父さんのためのサークルでもあるのだから。

オーストラリア人の男性は結婚してからも家事をよくするが、特に育児には積極的に参加する。乳母車に生まれたばかりの赤ちゃんを乗せ、2歳ぐらいの子どもの手を引いて、プレイ・グループに来るお父さんは決して珍しくない。それは、子どものためとか家庭の事情を理由に、休みを取ることが許される雰囲気が職場にあるからのようだ。

「どうして、こんな時間に、こんな所に、お父さんたちがいっぱいいるの?」ーーー

プレイ・グループの遠足や、ACTのプレイ・グループの集いに来ているお父さんたちの姿を見て、最初は不思議に思ったものである。

ちなみにこのプレイ・グループ、キャンベラにはおよそ250グループあり、4000人以上の子どもが参加しているのだそうだ。人口30万人都市でこの数字は驚きである。

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当エッセイは日豪プレス2000年2月〜7月に連載されました。今回、ご本人よりお寄せいただいた同原稿をもとに豪州屋にてHP作成&再公開したものです。

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