オーストラリア時事英語あれこれ

〜豪州特有の英単語や言い回しからオーストラリアを知ろう〜

Arse-licker オケツをなめる? アーセ・リッカー

豪州屋

**今回は少し下品な言葉ですので、そういうのが苦手な人はご遠慮下さい。あらかじめ お詫び申し上げます。**

国会というのはどこでも同じようなものなのでしょうか、オーストラリアの国会議員は口 の悪さで知られている人が多く、議場では聞くに堪えない罵詈雑言が飛び交うのが日常茶 飯事の様子です。理由の一つには、議員特権(Parliamentary Privilege)と呼ばれる法規則 により、議会における発言は、名誉毀損訴訟の対象になり得ないとされていることがある ようです。

今は引退したキーティング元首相は特に毒舌で有名でしたが、現役では与党自由党のアボ ット議員、野党労働党のレイサム議員が東西の横綱格といえます。両者は両陣営きっての 武闘派としても鳴らしていますが、それが比喩的な意味に留まらず、片や元チャンピオン 級のボクサー、片やけんかでタクシー運転手を骨折させて謹慎処分を食うなど、至極物理 的な話になってしまうのがいかにもオーストラリアらしいところです。

表題の語はレイサム議員がハワード首相を形容して国会で発言して物議を醸した語です。 Arseはオーストラリアの俗語でお尻のことです。Lickは「舐める」、接尾辞 -er は「〜す る人」の意味です。

ホーク、キーティングと続いた労働党政権がアジア重視、オーストラリア原住民尊重の多 文化主義政策(Multiculturalism)を推進したのと対象的に、ハワード政権は西側、特に対 米関係を最重要視する立場で、時に人種差別的とさえ非難されるほどです。このハワード 政策が非常に色濃く出たのが今年前半の対イラク武力行使で、ハワード首相の盲目的対米 追従策についてはこのマガジンの第1号、「Pre-deployment」で少し言及しました。

あまり国民に人気が高くないこの政策は労働党にとっては格好の攻撃対象であり、これま でも「brown nose(おべっか使い)」などの言葉で揶揄中傷されてきました。しかし、表 題の語はさしもの国会議員たちの手にも余ったようで、レイサム議員を批判する与党議員 たちもどうしても議会でそれを口にすることはできなかったようです。

レイサム議員は、政治的な立場も伝統的な労働組合重視の労働党本流とは異なり、クリン トン、ブレアのような「第三の道」を目指しているようで、労働党内にも反感を抱く人が 少なくないようです。しかし現党首のクリーン議員には重用され、いまは影の大蔵大臣 (Shadow Treasurer)の要職にあります。政権交代があれば未来の首相の可能性も高いこ の人、これからも迷言で楽しませてくれることでしょう。

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