オーストラリア時事英語あれこれ
〜豪州特有の英単語や言い回しからオーストラリアを知ろう〜
Colin's Canal コリンズ・カナル
この週末に、私たちの住む西オーストラリア州で選挙があり、現政権党の労働党が勝利、第二期ギャロップ政権が始まりました。国政から見ると、連邦は保守連合、各州・地域は労働党一色という「ねじれ」現象が継続することとなりました。レイ サム党首の辞任で意気消沈する連邦労働党にとっても、久々のうれしいニュースと なりました。
選挙戦の始まった頃は、野党保守連合は各世論調査でやや有利とされていたのですが、長い選挙戦を戦ううちに、自由党のコリン・バーネット党首の発言のそこここにほころびが見えはじめ、結局最後は「バーネットには政権は任せられない」とい う与党の攻撃が奏効したようです。
中でも、大きなインパクトだったのが、表題の「カナル」計画です。Canal は、普通なら「運河」で、船などを通すためのものですが、これは水を運ぶためのもので、用水路というほうが近いです。といっても、州北部のキンバリー地域からパースまで、3700kmにわたって掘削しようという世紀の大事業です。党首テレビ討論で突然バーネット党首が提唱し、当初はその大胆さが好感を持って受け止められ、「討論 はバーネットの勝利」という評価に貢献しました。
正式には Kimberly-to-Perth Canal (キンバリー=パース水路)という計画名ですが、すぐに提唱者の名前を取った Colin's Canal という言い方が新聞などでは定着しました。ところが、二十億ドルという費用見積が同様の公共事業に比べてあまりにも 少なかったり、結局州民がいくら負担することになるかは「掘ってみなければわからない」ということだったりと、詳しく見ていくとその計画のずさんさがどんどん あらわになってきました。
州民・メディアの耳目をそばだたせる一大計画だったことがかえって災いして、関心はこの計画に集中、野党の他の政策は全く影が薄くなってしまいました。そこへもってきて投票日直前にバーネット党首が発表した全公約の収支試算に単純な計算ミスが見つかり、与党の言う「無謀(reckless)」さを強く印象づけてしまったよう です。
カナル計画はこれで潰れたとは言え、パースの水不足は相変わらず深刻です。1980年代頃から突然雨が降らなくなり、それ以来ダムの水位は20%台からせいぜい40% という状態が続いています。パースは、オーストラリアの主要都市で唯一、世界的 にも恐らく珍しい、水源の過半を地下水に頼る都市です。現在大規模な逆浸透圧方式海水浄化プラントの建設が進められていますが、これはエネルギーを大量に消費し、二酸化炭素排出抑制の流れに逆行するなど、環境への悪影響があって抜本的解決にはなりません。バーネット氏でなくとも何か妙案はないものかと考えさせられます。
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