オーストラリア時事英語あれこれ

〜豪州特有の英単語や言い回しからオーストラリアを知ろう〜

Migration Zone 移民領域?? マイグレーション・ゾーン

豪州屋

前回は「Mandatory Detention(マンデトリー・ディテンション)」と題してオーストラリ アの非合法入国者の取り扱いに関する話題でした。今回はその続編として、Migration(移 住・移民)Zone(区域・領域)を取り上げます。

この政策は2001年の保守連合逆転勝利の契機となった難民船ラッシュを期に政府が打ち出 した対難民強硬策の一つで、オーストラリアの移民関連法規の適用範囲(すなわち Migration Zone )を本土(若干の島を含む)に限るというものです。

オーストラリアは1951年国連難民条約の加盟国として、難民の人道的取り扱いや迫害を受 ける恐れのある本国への送還禁止(ノン・ルフールマン原則)等の国際法上の義務を負っ ています。しかし、近年の難民の取り扱いは明らかにこれらの義務違反であり、それがア ムネスティや国連による批判の根拠ともなっています。

その批判をかわすためには、難民を乗せた船が領海に侵入しないよう(オーストラリアの 領土及び領海12海里内にある人はオーストラリアの管轄権が適用される)、早期に発見し て公海上で阻止するのが良いと、パトロールに力を入れることになります。それでも広大 なオーストラリアのこと、インドネシアに近いクリスマス島やアシュモア環礁、アラフラ 海やトーレス海峡の島々には警戒の目をくぐり抜けてやすやすと近付くことができるので す。それならば、いっそのことこれらの島々は移民関連法規に関する限り、オーストラリ アの管轄権の範囲外としてしまおうというのがこの政策の趣旨です。

先日のボートピープルが本土まで1キロ以内に接近しながら、わざわざ千キロ以上離れた クリスマス島に曳航されたのも、そこでならオーストラリアの国際法上の権利義務にそれ ほど気を使わずにマンデトリー・ディテンション、パシフィック・ソリューション等の問 題ある処置を取りやすいという思惑があったものと考えられます。もっとも、今回は明ら かに領海内に入ったわけですから、公海上で阻止したのとでは法的な意味合いが違ってき ます。

いずれにせよ、問題はそのようなテクニカルなことではなく、オーストラリアが国策とし てこのような問題ある移民政策を続けていること、またそれを歓迎する国内輿論があるこ とだと思います。政治的な迫害や経済的困窮に耐えかねて新天地を求めてオーストラリア を目指す人々に、もっと人間的な対応ができる度量を国民全体が備えてほしいものだと思 います。

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