オーストラリア時事英語あれこれ

〜豪州特有の英単語や言い回しからオーストラリアを知ろう〜

Preference Deal プリファレンス・ディール

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オーストラリアでは、先週土曜日に10月9日に総選挙が行なわれ、 ハ ワード首相率いる自由党と国民党の保守連合が四回連続の勝利という結 果でした。ハワードは首相としての在任期間が1980年代のホーク首 相を越え、歴代二位の長期政権となることがほぼ確実となりました。

オーストラリアの選挙は、リストにある候補者全員に、当選して欲しい 順番に1,2,3・・・と番号を付ける、優先順位投票方式(preferential voting)です。ただし、比例代表制を採用する上院の場合は、一番支持 する政党に1をつけ、あとは空欄にすることも許されています。

この方式は『死に票』が出ないのが利点です。たとえば、事実上二大政 党の争いの選挙区で、どちらかといえば労働党に勝って欲しいのだが、 緑の党の政策を強く支持する、という場合、緑の党に1をつけ、労働党 を2にすれば、その意見を反映しつつ労働党の勝利に貢献することがで きます。ラルフ・ネーダー氏がゴア候補の票を食ってしまったおかげで ブッシュが当選したとされる4年前の米大統領選で、もしこの投票方式 が採用されていたら、今日の世界は非常に違ったものになっていたかも しれません。

しかし、全ての候補者の政策を検討して、いちいち優先順位を決めるの は骨の折れる作業です。ましてや、投票が義務づけられているオースト ラリアでは、全く政治に興味が無く何も知らない人も投票するのですか ら、いきなり番号を付けろと言われても困ります。そこで、各党は当日 投票場で『投票のしかたカード』(How to Vote Card)を配ります。特に 自分の意見の無い人は、支持政党のカードに記載されている通りに番号 を付けるわけです。

また、上院選挙で番号が1だけしかない票は、その政党が議席を得なか った場合、前もってその政党が申請していた優先順位に従って、次順位 の政党に流れていきます。

当然、大政党は、小政党のカードに、ライバルよりも良い優先順位で載 せて欲しいと働き掛けます。小政党にとっては、そこが自分達の意見を 国政に反映させる絶好の機会となるわけです。小政党が実現したいと考 えている政策を公約に入れてくれれば、良い優先順位を付けてあげると いう取り引き(deal)を行ないます。これが、標題の Preference Deal で す。オーストラリアでは、選挙前にはどの政党も Preference Deal の取 りまとめに奔走し、それぞれの間で非常に複雑な deal の網が織りなさ れるようです。

今回は、前評判で躍進が予想されていた緑の党(The Greens)が労働党 と Preference Deal を結び、それがひょっとしたら政権交代をもたらす かもしれない、と言われていましたが、思ったほど得票が伸びませんで した。意外だったのは、結党以来初めての選挙だった右派政党『家族第 一党(Family First Party)』の大健闘でしたが、その preference は当然 保守連合に回り、結果的に保守の大勝、労働党は惨敗となりました。下 院に加えて上院の過半数をも支配しそうな勢いの第四期保守政権が、こ れまで上院の拒否にあって実現できなかった政策をどのように実施して いくのか、注目されます。

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