オーストラリア時事英語あれこれ
〜豪州特有の英単語や言い回しからオーストラリアを知ろう〜
Western Power 西豪州の電力事情 ウェスタン・パワー
2004年2月18日…、私達の住むパースは気温が39.5度まで上がり、湿度も 異常に高い不快な天候でした。ところが困ったことに、この日はパース 全域に一般家庭も企業もエアコンは使用禁止、違反者は千ドルから数万 ドルの罰金という節電令が布かれていました。
この節電令を出したのが公営の電力会社、 Western Power でした。こ の社名は西オーストラリア州 Western Australia のウェスタンと、 Power からなります。普通、ただパワーと言えば電力を指します。発電 に必要な天然ガスの備蓄が底をついたため、停電を回避するために州法 に定められた緊急措置権を行使しての強制力のある命令(Order)を出 したのです。
当然のことながら、丸一日うだるような暑さの中で我慢を強いられた一 般市民や、臨時休業に追い込まれた事業者は怒り心頭に発し、州エネル ギー大臣の責任問題に発展しかねない状況でした。この状況にあわてた 州政府は、即日 Western Power に事情説明を求める公開文書を送り、 翌日には同社の会長と社長(首相よりも給料が高く、州で最も高給取り の公務員と言われています)をクビにしてしまいました。
このような事件が起こった背景には、ここ十年以上も推進されてきた公 共サービスの民営化があるようです。
西オーストラリアの北西沖の大陸棚には大規模なガス田があり、そこで 採掘された天然ガスは千キロメートル以上ものパイプラインを通じてパ ース地方に送られ、発電等に使用されてきました。十年ほど前に州エネ ルギー委員会(State Energy Commission: SECWA)が分割された際、 パイプラインは民間企業に売却され、ガス供給部門は独立民営化されま した。電力会社だけはまだ政府が全株式を保有しており、株式公開のタ イミングを測っている所です。
パイプラインの売却話がまとまる前から、投資収益をあげなければなら ない買収企業と、政治的理由で電気料金は上げられない電力会社/州政 府との間には適正な使用料金についての争いがあり、今日まで解決して いません。その結果、売却時に義務づけた供給量以上にはガスを送って もらえない状態が続いています。
その間にもパースの人口は増え続け、電力需要は高まる一方でした。特 に二月のその週は最高41.5℃を記録するなど暑い日が続き、電力消費が 急増、とうとう発電用のガスが無くなってしまったのでした。
SECWAの分割民営化により、州政府は負債を大幅に償却し、州債はトリ プルAの格付けを取るなど、州の財政は大いに潤いました。しかしそれ が今回のような州民に不便を強いる代償を伴うのでしたら、本当に州の ためになったのかは疑問です。州民の福利に欠かせない基幹インフラの 民営化には慎重であって欲しいものです。
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