豪州屋Roo子のオーストラリア雑感集

kangaroo

ある少年が教えてくれた豪州の動物愛護

animal

夕方、Roo Kid を迎えに中学校に行った時のことです。私は普段どおり、彼を待つ 間、近くの公園で犬を散歩させていました。よその犬が寄ってきて遊ぼうとしていた ので、リーシュをはずして自由にさせたところ、遠くに遊びに行き帰ってこない。放 すと一人遊びが過ぎる傾向にあったうちの犬ですが、その時も、ある木の下で跳ね 回って、全然帰ってくる様子がない。小さい泣き声も聴こえたので、あわてて近づい てみると、なんと、ポッサムを引っ張りまわしていたのです。9キロしかないおとな しい小型犬なのに、小動物をつつきまわす様子は犬の本能を感じさせ、私は、制止し なければ、と大声を出しました。私の声を聞いて一度は獲物から手を引くのに、ま た、いじくろうとし、私の元に帰って来ない(しつけが行き届いてなくて情けないの ですが)。放っておいたら、ポッサムがかみ殺されてしまう、と、私は、犬の名を呼 び続けました。

その時公園の向こうから、自転車に乗った学校帰りの男の子が現れました。彼は、状 況を一目で見て取るや、うちの犬に近づき、迫力のある低い声でNO!と言ったので す。犬はひるんで獲物を放しました。彼は、なおも、Bad Dog!と犬を制し、私はリー シュをつけることが出来ました。男の子が言うには、そのポッサムは大きい種類のは ずだから、きっと赤ちゃんだろう、つつかれて弱っているけど、息はしているから、 すぐにRSPCA(動物虐待防止委員会)に電話した方がよい、と。しかし、私にはその電 話番号がわかりません。

すると、彼は、公園内を散歩していた別の女性に声をかけ、事情を説明、RSPCAに電 話してくれるよう頼みました。女性は、すぐに合点承知と携帯電話を取り出してイエ ローページにコール、RSPCAのEmergency Lineにつないでもらい、レスキューを依頼 してくれました。既に陽は落ち、レスキューに来るまでにポッサムが死んでしまうと いけないので、彼女は自宅からタオルをもってきて保護する、と言ってくれました。 さらに、この手伝いで帰宅が遅くなった男の子に、家に電話して事情を説明させてい ました。・・・1匹の赤ちゃんポッサムの命を縮めてしまった悲しさ、自分の犬をコ ントロールできなかった情けなさ、で立ち往生している私の前で、彼らは実にてきぱ きと事態を解決していったのです。

夜行性のポッサムは夕方になると活動を開始するので、電線の上を伝って歩くのをよ く見かけます。この、ねずみのような、いたちのような可愛い小動物は、しかし、動 作がのろいので、車にひかれたり感電したりして死んでいるのは日常茶飯事。私一人 だったら、ごめんねと言いながらも放置する他なかったかもしれません。でも、オー ストラリア人にとっては、どうやら、それは許されざる行為のようです。ポッサム は、家の屋根裏に入り込んだり、留守宅に侵入したりすることもあるので、ねずみ捕 りならぬ、ポッサム捕り、を市役所が貸してくれると聞いたこともありますが、つか まえたポッサムは駆除せず、人家のない場所へ逃がすのだそうです。 (死んでしまった動物は、やはりRSPCAに通報して、死体の引取りを依頼する必要が あるそうです)

動物が大好きなRoo Kidによれば、オーストラリアでは動物はとても大切にされてい るんだそうです。動物愛護の観点から、動物を使ったサーカスは一切禁止されている とか。実は、学校帰りの男の子は、Roo Kid と同い年でした。13歳の彼の、てきぱき とした行動と、動物を助けようとする気持ち、そして、その教育が行き届いているこ とに、私はひたすら感じ入った次第です。帰宅してから、さっそく、RSPCAのウェブ を見てみました。車にはねられたりして保護される傷ついた動物の数は数万に上り、 とても、オーストラリアの人的資源で対応できるとは思えないけれど、だからといっ て、何もしない、ということにはならないのでしょう。オーストラリア人の動物愛護 精神を語るにはまだまだ勉強不足の私、とりあえず、RSPCAにボランティアの情報を 送ってくれるよう、頼んだところです。

Roo子へメイルはお気軽にこちらから

kangaroo
Roo子さんのエッセイ