豪州屋Roo子のオーストラリア雑感集

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ドラマが必修科目

 engeki

中学校のオーストラリア史の教科書に、文化的多様性を抱えるオーストラリアの問題 として、オーストラリア文化とアジア系文化の「教育」概念の違いが指摘されていま す。いわく、 アジアの「教育」とは、先生が持っている知識を生徒に伝授することであるが、 オーストラリアの「教育」においては、生徒が自ら疑問をもち、批判し、調査してそ の人なりの考えを構築するよう指導することをめざしている。

ですから、オーストラリアの学校では「知識量」でなく、「自己表現力、自己解決 力」が重要とされます。その一環としてでしょうか、カリキュラムのなかに「ドラマ =演劇」が必修として組み込まれています。渡豪前、いろいろな中学校のパンフレッ トを取り寄せて眺めていたとき、このドラマ、って何だろう?面白そう、と興味をも ちました。すべての学校がそうではありませんが、Roo Kidの学校では、Year7−8 でDramaが必修科目です。その後は選択科目となりますが、高校卒業認定試験(各州 によって違い、ビクトリア州の場合VCE)の科目にもDramaがあるので、好きな生徒は Year12まで続けて履修します。

Roo Kidの一人は転入早々にドラマクラスの発表会を迎えました。3-4人のグループ に分かれてシナリオを作り、実際に演技をするのです。英語が十分でないRoo Kidの ためにある子が特別なストーリーを考えてくれました。オージーと日本人の漁師二人 が漁船をあやつって沖にでたところ、外国船籍の船に遭遇し、見張りに、「テロ」目 的ではないかと疑われる。潔白を証明するため、「すし」をつくってパーティをし和 解にもちこむという、時事問題も取り入れた筋。RooKidは日本人役なのでセリフは 日本語で言えばよい。船には通訳が乗っており、RooKidのセリフは直後に英語で 繰り返されるようにシナリオができているので、Roo Kidも堂々と参加できるし、観 客もちんぷんかんぷんにならずに済むし、第二外国語で日本語を選択している生徒に はよい聞き取りの練習になるという、心憎い設定でした。最後にすしをつくろう、と いうところも、当地でのSUSHI人気を反映していて、受けたようです。

あまりに面白そうなので、こっそり観にいってはだめ?と聞いてみましたが、「授業 だよ、いいわけないだろっ!」と一蹴されました。小学校(JuniorSchool)のうち は、たとえば親が忘れ物を届けに教室に来ても、どうぞどうぞ、という雰囲気らしい のですが、中学校以上(SecondarySchool)になると、生徒自身が自立することを 学校からも社会からも求められるので、親が校舎内をうろつくなんてことは無いのだ そうです。残念無念、ドラマの首尾は、子供の口から聞くしかありません。

最近は、歴史の授業でも、ドラマ形式で発表する機会があったようです。Year8の歴 史では、世界のいくつかの地域の「中世」をとりあげており、どの地域の中世でもよ いからドラマにして演じよ、という課題です。教科書には、ヨーロッパと並んで、日 本の中世のことも詳しく記述されているし、ペアを組んだ男の子も日本のことが大好 きなので、日本の戦国時代の足軽を主人公にシナリオをつくることで話が一致。時代 考証に強いRoo Kidが筋を考え、英語に強い彼がセリフやト書きを作る、という共同 作業をしました。演技は、人物の性格が出るように、声の調子、抑揚、身振り、動 作、タイミングを工夫することが求められます。歴史ドラマを真似て派手に立ち回っ たおかげか、皆が笑ってくれて面白かったそうです。

とまあ、上記のRoo Kid は結構楽しんでいる様子ですが、もう一人のRoo Kidはおと なしい性格のため、ドラマが大の苦手です。選択科目なので取らずにすむと思ってい たら、英語の授業で学んだ「ベニスの商人」を、古語そのままで演じることになり、 頭を抱えています。普段から大きな声で、まくしたてるように話すオージー娘たち は、どんなセリフも演技も堂に入ったものですが、慣れていない日本人にはチャレン ジです。しかし、これは好き嫌い、向く向かないの問題ではなく、求められているス キル、といえそうです。がんばれ、Roo Kid!

日本の学校でも演劇を授業に取り入れているところもあると聞きます。学芸会だけで なく、ふだんから劇を演じたり歌ったり踊ったりする「表現型」の授業やサークルが あれば、楽しめる子もいるでしょうね。先生のクリエイティビティが必要ですね。週 休2日で何をしようか迷っている子供達のために、「自己表現塾」が出来ても面白い かと思います。だれか始めないかなあ?

それにしても、アウトドアエデュケーションといい、ドラマといい、先生からの一方 通行でなく、インタラクティブ(相互作用)型授業が多いのは歓迎しながらも、日本 でしか教育を受けたことの無い親としては、これで必要な「知識」は身についている のか、と、多少心配にもなるわけです。オーストラリアの授業日数は日本と比べて 1.5か月分も少ないというのに、いわゆる講義型の勉強時間はさらに短いわけですか ら・・・。学期間の休みに、日本から持ってきたテスト用紙の残りを子供に差し出し ては嫌われているわけです。

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