クィーンズランド州の大学から @

豪州屋のコメント

第1回目は、豪州屋でもリンク紹介しているKAZU NOGITAさんからご紹介。今回のコーナーに早速賛同していただき感謝しております。野北さんはクィーンズランド大学における職業研究者です。

僕がこの大学を選んだワケ

のぎたさん

  • お名前野北 和宏(のぎた かずひろ)さん
  • 1966年生まれ、
  • 男性
  • (職業研究者)
  • 大学名UQ:クィーンズランド大学、鉱山、鉱物、材料工学科 
  • (The University of Queensland,Dep.of Mining, Minerals and Materials Engineering)

オーストラリアは地下資源が豊かであり、特にクインズランド州はアルミニウムの原料であるボーキサイトやマグネシウムの原料であるマグネサイトが多く産出され、輸出されています。クインズランド大学ではそうしたバックグラウンドから、鉱山、鉱物、金属材料の研究が盛んに行われています。金属材料の研究に関してお話すれば、近年、国策により単に原料を輸出するだけでなく、そこに技術という付加価値をつけようとの理由で、CASTと呼ばれる鋳造凝固の国内唯一の産学協同センターが発足し、そのヘッドオフィスがクインズランド大学の Mining, Minerals and Materials Engineering学科内に設置されています。このCASTにはクインズランド大学、モナーシュ大学、CSIROをはじめオーストラリア国内の多くの機関が参加しています。

クインズランド大学での金属材料(特に軽金属であるアルミニウム金属)の研究の歴史は古く、50年以上の伝統があります。昨年惜しくも80才で亡くなられたProf.Hoganはアルミニウムーシリコン鋳造合金(この合金は車のエンジンやフォイールなどに使用されています)の凝固に関する世界的権威であり、現在でも教授の理論が一般的に受け入れられています。

また、クインズランド大学にはCentre for Microscopy and Microanalysis (CMM)と呼ばれる学内の電子顕微鏡を集めた共同施設があります。ここには最新鋭の透過型および走査型電子顕微鏡が多く設置されており、その規模は南半球で最大のものです。

私の研究分野である「軽金属の鋳造凝固と電子顕微鏡による微細組織評価」という2つの内容を同時に満たす機関はオーストラリアではこの大学しかない、というのも私がこの大学を選んだ理由の一つです。

僕の日々の生活

イメージ

日々の研究生活について書いた文章が自分のHP(http://www.geocities.co.jp/Technopolis/2941)にありますので、ここで引用して紹介します。

仕事は1999年4月12日から始まりました。3年間には少したりないけど、2001年の 12月いっぱいまでがこの職の契約期間です。

仕事内容自体は、対象となる物は日本にいたときとは異なりますが、予期していた 通り使用する装置も同じだし、文献を読み、実験計画を立てて、実験したあと報告 書や論文を執筆して、学会発表を行う・・・という一連の流れはどの国でも「研究」をやっている限りあまり大差ないものです。

初めの3カ月間は試用期間ということで、7月12日を過ぎて正式に大学職員として採用されることになります(もっとも、いきなりアメリカ出張を言い渡されて、 本採用が決定する7月12日当日にはアメリカに居たのですが・・・)。

また、一応毎年毎の契約更新ということになっているようですが、その際にクビに なるひとは滅多にいないようです。

しかし、3年の契約期間が終わると一旦職がなくなるわけで、それから先は生き残 るのは大変なようです。新たなプロジェクトを見つけてきて応募しなくてはなりま せん。生き残れる確率は半々と言ったところでしょうか。

最近の典型的な一日はだいたい以下の通りです。

  • 07:45am 起床、自分と息子の昼のサンドイッチを作り、朝食を済ませる
  • 08:30am 車で息子を小学校に送っていき、そのまま大学へ出勤
  • 09:00am 仕事開始。メールチェックとメールの返答、ネットで英語、日本語の新聞を読む
  • 10:00am 学生さんと実験、もしくはディスカッション。途中お茶の時間は休憩
  • 01:00pm お昼ご飯。職員用のカフェで朝作ったサンドイッチを食べる
  • 02:00pm レポート作成、もしくは上司とディスカッション。たまに共同施設で実験
  • 04:00pm セミナー出席
  • 05:30pm そろそろ帰宅準備。実験が続くこともあり。
  • 06:00pm 帰宅。すぐに家族と夕御飯。

朝は僕が息子を学校に送っていきますが、帰りは連れ合いが3時頃迎えに行きます。 よほど実験が長引かないかぎり夕食は家族で一緒に食べるようにしています。

お昼は、当初日本にいたときのように12時きっかりに食べていたのですが、だれ もカフェに来ませんでした。

オーストラリア全てでそうだかどうかわかりませんが、ここでは1時からの遅めの ランチが一般的なようです(アメリカで滞在した企業では、11時半頃から昼食を とる人が多く、1時にはもう仕事に戻っていました)。

仕事で日本に居たときと違うことといえば、一つは学生さんがいること。 これは大学だから当たり前のことですが、日本に居たときは僕が「若手」だったの ですが、こちらでは立場が逆転しています。

毎日僕よりも若い方々に接しているとこちらまで学生に戻った気がして(^^;楽しい ことが多いです。仕事が決まってしばらくは、住んでいたアパートから通勤にバス を使っていたのですが、頻繁に運転手さんから学生証の提示を求められていました。

ジーパンやデニムのシャツで通っていると自分でも学生になった気がしてしまうから不思議です。 毎日顔を合わせているのは4年生までのいわゆる学部学生ではなく、大学院生の方 々です。彼らは海外から来た方や一旦社会人をやってから博士課程に戻ってきた 方々なので、実は年齢はそれほど僕と変わらない(20代後半の方が多いです)の ですが・・・。

二つ目の(日本にいたときとの)違いは、これが最も重大な違いなのですが、仕事 環境が全て英語であることです。当たり前といえば当たり前のことですが、これが 一番堪えます。

論文は日本に居たときから英語で書いていたのでゆっくり時間をかけてやる英語の 作業に関してはそれほど違和感を感じないのですが、例えば電子メールでの即答、 電話での指示、簡単なメモ等のいわゆる「速度のある英語」が大変なのです。

学生さんと実験をやっていても、「出てきたデータの小数点第二位で四捨五入して メモってね」というような中学生レベルの英語が自然に出てきません。

また、政治的な話になりますが、特に意志決定機関に英語で切り込んで行かなけれ ばならないのは一朝一夕の努力ではままなりません。

研究費を申請するにも英語が必要だし、業者にササッと指示の文章を書いてファッ クスする・・・なんてのも結構大変な作業です。

大学を見渡してみても、日本人の(特に英語関係の)留学生がうじゃうじゃいるの に、日本人の教授や助教授の方がほとんど存在しないのは、やはり英語に問題があ るのかなぁと実感しているところです。

最後に、人の名前を憶えるのはかなり大変です。いまだに「顔はわかるけど、名前 が出てこない人」がたくさんいます(^^;。さらに、ファーストネームで呼び合うの で名字を知らない人も多く、今更名前を聞き出せないという状態にある方も数人居 たりします・・・。

詳細情報

研究内容

こちらで研究内容、論文などを紹介しています。

  • 在職期間 1999年4月〜
  • 専攻 職業研究者
  • ご自身のHP http://www.geocities.co.jp/Technopolis/2941
  • ブリスベンの生活、移住までの出来事など具体的な生活体験が紹介されています。
  • 掲示板 研究者同士の交流の場を設けた、掲示板 リサーチ ダウンアンダー もどうそ
  • E-MAIL k.nogita@minmet.uq.edu.au
  • 所属学会 日本金属学会、日本原子力学会、TMS(The Minerals, Metals & Materials Society, USA),Australian Society for Electron Microscopy

論文を読む

アルミニウム−シリコン亜共晶合金の共晶領域の凝固(核形成と成長)形態について

こちらで、私の論文がご覧になれます。

 

kangaroo
大学での研究