豪でビジネス
お金もあるし不動産開発なんてどうかな
89年から91年にかけたバブルのころに、来襲した日本企業の不動産開発合戦はすさまじいものがありました。建設中のゴールドコーストの高層ビルの看板には日本企業の名が連ね、まるで日本にいるような感じさえうけました。さて、豪州屋は特に不動産開発についてはウンチクをもっています。といいますのも、豪州屋運営委員の多くは豪州で○×○億円も投資して開発を行った経歴の持ち主達ですので。
そこで、豪州にて不動産開発を行う際の豪州屋的意見として。
豪州屋ビジネス指南
FS(フィージビリティスタディ)は入念に自分で行う。
特に気をつけなければならない点は収益予測に影響するマーケット・リサーチのレポートだ。バブル時期は別として、多額の資金を調達するためにはそれなりのプロジェクトの評価を第3者に行ってもらう必要がある。我々の時は地元大手2社の不動産会社と米国系コンサルティング会社のレポートを参考にしたが、不動産会社のレポートは立派に製本した分厚く、きれいな写真ばかり掲載した立派な体裁の割には内容のうすいものばかりであった。(これで何万ドルもとられる)肝心の市場予測もそれなりに売上が見こめる数字が記載されている。考えてみれば当たり前のこと。完成した物件の販売を任せてもらう魂胆が見え隠れするために、悪いレポートを出して開発を中止させる企業などない。米国系調査会社においては、さすが国際的な標準に基づいており、要点をついたレポートにしあがっていた。さて、FSに必要となる資金繰りという点においては、開発当事者も融資団(出資者)を納得させる資料が必要になりますが、これが悪いことに自分達の都合のよいレポートばかりを外部に見せてしまう癖があります。仕方ないといえばそれまでだが、まずはあまり現実の数字を見失なわないことが大切。土地の取得前ならば、市場性を時間をかけて検討することだ。土地を購入してから考えては遅い。FSは、最悪ケース、中間ケース、ばら色ケースの3種を用意しよう。
たとえ政府であろうと100%信じてはいけない?
投資してお金を落とし、雇用を生み出してくれる企業は、豪州に限らずよほどのことがなければ歓迎してくれる国は多い。しかしここに落とし穴がある。これも政府に限らず民間も同じであるが、マイナスイメージになる余計なことは事前には伝わらない点だ。例えば、オーストラリアにはグリーンパーティという環境保護政治団体がある。土地取得後、開発許可を得るためにはカウンシル(自治体)からの許可(DA)を得なければならないのだが、政府内で必ずといって反対するグループがある。これがグリーンパーティ。彼らを納得させるために、Environmental Studyといって開発が環境に与える調査をかなりの頻度でまとめなければならない。それこそ敷地内にコアラの一匹でもいたら開発はできなくなる恐れがある。樹木だってむやみに伐採できない。このおかげで、開発を途中断念した企業は多い、おまけに許可が出た暁には期限内に開発に着手しなければならず思うようにプロジェクト体制を整えるのは難しい現実が待っている。
さて、上述した情報は前もって知っておきたいのに、土地買収前段階ではどこからも聞かされない。政府としても言う必要はないだろう、土地を取得してからの開発に関しては、当事者の問題にあたるののだから…。 ついでに、認可取得を急ぐあまり、役人に間接的にワイロを渡した日本企業もあったそうだがそこまでするなら目立つ所に寄付でもした方がベター。
BOND(預託金)とコントリビューション
開発許可を得る代償(保証)として、地元カウンシルに預託金をつまなければならない。これは遅かれ早かれもどってくるが、この額も億単位に及ぶことも多い。また、サイトまでの道路、ラウンドアバウト、などの工事を負担させられることが多い。はっきりいって、この時点で開発する気力がなくなってしまいます。
裏を返して言えば、ローカル政府の大半は税収不足に悩んでおり、搾り取るだけ搾り取ろうという魂胆が見え隠れする。無謀な開発はいやだけど、ある意味の税収も欲しい、それで道路も舗装したいと、地元住人の意見を反映した当然の結果にも見える。そのおかげで、あれせよ、これせよと認可を得るまでにやることが多い。1年で取得できたら奇跡としか言い様がない。
豪州屋的意見としては、豪州政府が今後も日本企業からの投資を必要とするならば、開発者が土地購入前に知ることができる、政府発行の「開発許可申請時政府要求リスト」というものをだしたらどうだろうか。政府のガイドにそって購入者は土地を選考できる。(まぁ、そうなると乱開発の恐れもあるし、現在の地元の土地オーナーからの不満もでるだろう)
弁護士だって知らないことはできない
日本では弁護士といえば弁護士ですが、豪州にはソリシターとかバリスター(法廷弁護人)とか呼ばれる弁護士がいます。それはさておき、日本に比べ、経済社会の大きな動きがないオーストラリアでは大きなプロジェクトのお仕事なんて当然したことがない人達が多い。弁護士もしかり、そのような人達に無理に何でも相談しても時間の無駄というか、お金の無駄。かといって有名どころの法律事務所だから、開発関係に強いというわけでもない。離婚訴訟専門の弁護士が、海外取引に精通しているかどうかは??だ。これはだれにでも共通して言えることだが、専門家といえ何でも相談していたら、大変なことになりますので…。とはいえ、まずは弁護士の話す英語が理解できることが前提なんですけど。
開発にはゼネコンを使うか?自力でやるか?
豪州で開発する(した)日本企業は海外開発は豪州が初めてという企業もあるのでは。バブルのころは、ぜんぜん畑違いの業種が不動産開発を行った例もあります。そのような業者は知り合いの日系ゼネコンに任せるケースが多いのでは?豪州屋委員の知るところによるとバブル当時、ゼネコンは開発費の15%とか20%をFEEとして提示してきました。100億ならば20億です。
さて、ゼネコン内で、果たしてオーストラリアのプロジェクトにどれだけ関わった経験があるかどうか??は、いまだ未知数です。どちらにしろ、メインのサブコンタラクターは豪州企業になりますから、自分の能力に自信があるかたは、みずからプロジェクトマネージャーになって指揮するのが一番手っ取り早く安くあがる方法かもしれません。
開発予算について
オーストラリア人に見積予算作成を依頼するときにこれも注意が必要です。
規模が大きくなればなるほど、オーストラリア人の想像を超えた仕事になってしまいます。日本では50億、100億くらいのプロジェクトはごろごろしていますが、オーストラリアではそうめったにあるわけではありません。知らない人に見積を頼むのは止めましょう。見積の最後には必ずコンティンジェンシー(予備費)というおまけがつき、開発費の15%くらいを平気で計上します。100億ならば15億が使途不明予算になってしまいます。こんなのアリ?と疑ってしまいますが、見積依頼時に開発コンセプトがきちっと固まっていない日本企業側の問題も多々ありますので要注意。
まだまだありますが、順次追加します。
まとめ
ということで、ゼロからの不動産開発はなかなか思うようにはいきませんので、豪州屋的意見としては、「金が余ってどうしても何かをしたい」、、、と言う人は(いないと思うけど)、既に開発された物件で買い手を探している物件を中心に検討されてはいかがでしょう。売れ残っている物件にはそれなりの理由があるのでしょうから、何件か物色しているうちにだんだん目も肥えてきますし。
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